9月3日、JAMA Internal Medicineにおいて、砂糖飲料と死亡リスクの関連性について欧州10カ国において行われた大規模なリサーチ結果が発表されました。
それによると、1日2本以上の砂糖飲料を摂取すると、心臓疾患による死亡リスクが高まることが示されました。また、炎症性腸疾患などの消化器疾患による死亡との関連性も示されたもよう。当リサーチは、英国、フランス、スペインなどの欧州10カ国の約450,000人を対象に行われたデータがもとになっています。
歯科医師及び医師は、長年にわたり砂糖飲料の口腔健康そして全身健康に対する危険性について警鐘を鳴らしてきました。その成果として、砂糖飲料税は世界的に広がりを見せており、英国、デンマーク、フィンランド、フランス、ハンガリー、アイルランド、メキシコ、ノルウェー、南アフリカ共和国などにおいて、既に導入ないし検討が開始されております。
日本においては砂糖飲料税は導入されていませんが、同様に口腔および全身健康に悪影響を及ぼす嗜好品として、たばこがあげられます。たばこについては、1984年にたばこ税が導入され、その存在は広く社会に知られていますよね。メビウス(旧名マイルドセブン)を例に、1985年と2019年でその一箱あたりの価格を比較すると、200円から490円まで245%も上昇しているのです。
現在、日本のコンビニエンスストアや自動販売機においても、例えばお茶と砂糖飲料の価格に極端な有意差を感じることはありません。しかし、砂糖飲料税が導入されることで、砂糖飲料がアルコールと同じような価格帯で販売されるようになった国もあるということです。
今回の研究成果を受け、2018年の英国における砂糖飲料税の導入に大きく貢献したオーラルヘルス財団のNigel Carter OBE博士は、
フッ素配合歯磨剤を使用した1日2回の歯磨きは口腔健康を守るための鍵ですが、砂糖飲料の過剰摂取による齲蝕を防ぐことはできません。政府による砂糖飲料税の導入は、スーパーマーケットや家庭において消費される砂糖量を抑制するために必要不可欠です。
などと述べています。
WHOによる砂糖消費に関する推奨は、人種間の体格差などが考慮されていないません。しかしながら、口腔および全身健康への悪影響が明確に示されている現代において、日本においても砂糖飲料税を検討するべき時期に入っているのではないでしょうか。
DR Kiyohara