歯科診療を原因とする感染報告はない
歯科医師・歯科衛生士の感染リスク、加えて歯科医院内の感染リスクが高いと言われてきたにも関わらず、日本国内において歯科診療を原因とする感染の報告が一例も出されていない※2。 ※2:2020.12時点
その理由は、歯科において、感染の3因子である、①病原体の除去、②感染経路の遮断、③宿主の抵抗力増強 の3つに対して、従来から徹底した感染予防対策をしてきたこと、これこそが歯科診療で新型コロナウイルス感染症が起きていない理由であると、述べている先生たちがいらっしゃいます。
①病原体(感染源)の除去:消毒の徹底
歯科医院では、一般家庭で行われるような、菌やウイルスの数を減らす「除菌」ではなく、次亜塩素酸ナトリウムや消毒用アルコールを用いて菌やウイルスを無毒化する「消毒」が徹底されている環境であった。
また、口腔内に使用する器具に対してはオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)などを用いた「滅菌」も徹底されていた。
②感染経路の遮断:標準予防策(スタンダードプリコーション)の徹底
標準予防策(スタンダードプリコーション:すべての患者のすべての湿性生体物質(血液、唾液、体液、分泌物、嘔吐物、排泄物、創傷皮膚、粘膜など)は、感染性があるものとして取り扱わなければならないという考え)を徹底し、普段の診療から常に感染のリスクがあるとして対応してきた。
具体的には、手袋、ゴーグル、フェイスシールドなど、個人防護具の常用がある環境であった。また、教育機関でもある大学病院では、アイソレーションガウン等の着用を行うなど、院内感染対策およびその教育の徹底が行われてきたことも一因として挙げられた。
③宿主の抵抗力増強:健康管理
歯科では早期に対策を講じ、診療前の体調や味覚、嗅覚の異常についての問診や、体温チェックを開始していた。また、体調が優れない患者さんはそもそも来院されないという場所でもあった
つまり、歯科は安心して来院いただける体制が整っていることを1人でも多くの患者様に知っていただき、より良い環境で口腔から健康を守っていくことを持続して欲しいと思います。
Dr.Masayuki Kiyohara