残念ながら、床矯正だけでは歯を正確に並べることができません。
床矯正治療をしながら疑問に思うことがあるかもしれません。
床矯正を正しく理解いただくために少し詳しくご説明をしたいと思います。

床矯正で使用される装置について(拡大床について)

床矯正治療は『拡大床 (かくだいしょう)』を用いて治療を行うことを 主役に考えて治療している総称です。
床矯正という名前は、医学的には正式名称ではありませんが
特徴的な名称として広く知れているので当院では床矯正と読んでいます。
※他にもワイヤー矯正マウスピース矯正なども正式名称ではありません。

床矯正で使用されるこの拡大床は、ネジを埋め込む方向や
ネジの種類を変えることにより色々と作用する方向がありますが
簡単に書くと右の写真のようになります。

レジン床と呼ばれている所の『床』の文字を使用して床矯正と言っています。
これは、右の写真のように2つ以上に分かれています。
分かれた部分には、拡大ネジと呼ばれるものが組み込まれています。
クラスプや唇側線という部分は、色々な形がありますが
ここでは分かりやすく書いています。

ネジの部分を大きくして書くと図1のようになります。左の棒のようなものを使い、ネジを回していきます。(図2)
そうすると、ネジの部分がどんどん広がり、赤い矢印のように(図3)レジン床の割れ目が広がり
その力で緑の矢印のように歯列が広がっていきます。(図3)これにより歯列の幅を広げていく装置です。

床矯正法は、1935年ウィーンの歯科医師シュワルツが基礎を樹立しました。
小さな異常や不具合は小さいうちに改善してあげることで体の負担を少なく、費用を抑え
短い期間で治療する、という考え方です。取り外しの可能な床矯正装置を固定源として、歯を動かしたり
正しい歯並びを促すよう顎を拡大します。装置は必要に応じて自分ではずせるので楽ですし、
歯磨きもしやすいのがうれしいところです。

矯正治療の進め方

【ヨーロッパ式】
床矯正が主流。早期から始める矯正、貴金属を使用しない『歯を抜かない矯正治療:床矯正装置』

【アメリカ式】
抜歯矯正が主流。歯を抜いてスペースを作り、固定式のワイヤーで歯を並べる治療。

歯科医は見た目だけででなく、噛み合わせを考え、むし歯のない清掃性の高い口腔内環境を保てる歯間
バランスも考え、治療を進めていきます。

矯正の本当の意義歯科医師の目標である「一生自分の歯で過ごすこと、歯の寿命をながくすること」
につながる治療であるということ。
矯正は、その技術で咬合だけでなく、大きく歯根や顎にも影響を与えます。
必要以上に歯にダメージを与えることもありますし、その後のことも考え、スタートする
タイミングによっては、非抜歯ではしない方が良いときもあります。

また、たとえ隙間がうまくできたとしても歯の生え方はお子様によって異なります。
綺麗な向きに導くのは床矯正ではできません。なので床矯正だけで治療が終了するとは
いいきれないのが現状です。けれど、きちんと隙間があることで、歯を抜くことなく
歯を理想のむきに整えることが可能です。次の段階の矯正装置、ワイヤーを使い
より細かな歯の向きを治していきます。
床矯正で骨格改善をし、ワイヤー治療で歯並びをきれいにしていくとお考えください。

床矯正を進める工夫

床矯正は自分で頑張った分治療が進みます。装置を無くしたり、途中で投げ出したりしないよう
色々と努力していきましょう。

【無くさない工夫】
ケースのふたを上下逆に開けると装置を落としそうになるので、ケースの上側にシールなどで目印をつける。
お気に入りのカラーの床矯正装置の色を選んだり、可愛くデコってお子さまに愛着をもってもらう。
他にも専用のポーチを作りその中にケースを入れる癖をつけるなど。
ポーチを見れば誰のものかがすぐにわかるので忘れたら、声をかけてもらえます。

マイケース 正装置の色見本 専用ポーチ

【きちんと進める工夫】

  • お風呂に入っている時間や通学・睡眠時間にも装置をはめて時間を稼ぐ
  • 好きなテレビ番組を見る曜日や時間にネジを巻くようにして巻忘れを防止する
  • 巻いた日はカレンダーにシールを貼ったり、時間を書いたりして進める
  • 携帯電話のアラームをセットして巻忘れを防止

【楽しく進める工夫】

  • うまく矯正がすすんだら、ごほうびを用意する
  • 学校で装置をつけている場合は、学校の先生や友達に説明して理解してもらう
  • 保護者や歯科医師から学校の先生に手紙を書いてもらう
  • 日記を書く
  • 目標とする友達、写真を貼って、イメージして頑張る
  • 装置ケースをデコレーションする
  • 可愛いポーチやお気に入りのポーチを見つける
装置の巻き方

装置にはネジが付いています。ネジは90度に1つ穴があいています。
この穴にキー(ネジを巻く棒)を差し込み、矢印の方向へ回します。
どれくらいの感覚で、どれくらい巻くのかをしっかりお伝えしますので
自分で巻いて実感を感じるのも楽しみのひとつです。

装置の取り扱い

床装置は取り外しが出来ます。これはメリットである反面、外したまま置いていると
無くしてしまったり、他人に捨てられてしまったりする欠点でもあります。
最初にリーフレットをお渡しし、注意すべきこともしっかりお伝えします。

顎の成長を考えることなく、噛む大切さを伝えなければ、歯列だけが広がる恐れもあります。
きちんとした成長を遂げず、異常な傾きをしてしまうと、そのあとの咬合に悪影響をおよぼす可能性もあります。
だからこそ、症例数の多い確かな技術のあるドクターにかかること、きちんと食生活と
ライフスタイルの大切さを伝えられる歯科医師を選ぶことが大切なのです。
歯をみれば、あまり噛んでいない生活なのかしっかり噛んでいるのかどうかもわかります。
それは担当制で同じドクターが確認をしているから。
毎月1回の調整はお子様にあわせた無理のない正しい歯並びへ導く調整治療だけでなく、
経過をしっかり管理するために必要な通院なのです。